2025/06/03

泉南歴史トピックス6 泉南市史と新家古記の世界にみる大光寺③

 ー「泉南市史(通史・史料編)」と「新修新家古記の世界」にみる大光寺ー③

(このシリーズは①からお読みください)

※「新修新家古記の世界」の正式名称→「新修新家古記の世界 日輪山清明寺代々記を通して泉南市新家500年の歴史を現在のことばで読む」(初版発行平成17(2005)年、編集松田秀逸、発行新家歴史研究会、発行責任者松本芳郎)

(「新家古記の世界」は、S61、S62、H3、H8、H17、と改定・出版を重ねて、上記画像のものは5冊目になります。今回引用しているのはこの(最新)本です。)

 本のサブタイトルにもなっている「日輪山月光院清明寺代々記並三谷古記」とは、新家上村清明寺の忍誉上人が明治初年にまとめて書き記した文書群のことですが、この本の特筆すべき点は約500年前に遡り、寺に残る記録文書群(一次史料)に基づき記されているという点です。  

 他市と比べて中世の歴史がほとんど分かっていない泉南市の中で、唯一新家地区の歴史がこれほどまで文書でたどれるのはこの記録のおかげなのです。(関連する記載から近隣地区や紀州根来、その他の歴史もたどれます。)その意味においては泉佐野市の「政基公旅引付」に匹敵する重要文書といってよいと思います。

 前回に書いた、泉南市の村の歴史に大きな影響を与えた事例「1.新家谷編」ですが、まず泉南市史通史編の第2章近世村落の構造と発展、「第三節義民伝承と村方騒動」の327P以降337Pまで、新家村の村方騒動に関する記述がかなり詳細に記されています。

 これに関して史料編でも関連史料が紹介されていますが、「新家古記の世界」にもそれに関連する清明寺の関係文書が紹介されています。(117~118P「村方騒動」)。市史史料の山田家文書と上村の清明寺代々記で微妙なニュアンスの違いがあることに気づかれると思います。それぞれ実際のものを読んでみてください。

 さて、大光寺と新家谷のかかわりですが、中庄新川家文書研究会の近藤孝敏先生の研究によれば、大光寺ではある出来事を機に寺勢が大きく衰えた時期がありました。この出来事は後で記しますが、これを立て直し再興隆させたのが(大光寺)五世の暁誉上人です。

 この人は、寛文六(1666)年に三谷上野原新田を開発し、二本松六道堂のあたりの新田四枚を当院(清明寺)に寄付しました。これにより、清明寺は大光寺の末寺になったのです(市史史料編159~160P、代々記95P)。この「当院ハ浄願院預寺に有之処、此度寛文元年、大光寺を本寺ト定る。」について、代々記の95P現代訳は「浄願院(信達牧野にあった)の預り寺になっていましたが寛文元年(七年)」と注釈や訂正まで行っており、 研究会のレベルの高さが伺えます。わたしもこの「浄願院」とは牧野の浄岸寺のことだと解釈しています。

 また、さらに市史史料編162~163P、代々記96Pですが、寛文七(1667)年に新家谷高野村の浄福院の開眼供養が、大光寺五世暁誉上人により行われており、「慈雲山浄福寺」となったことを記しています。そして同年の11月に檀家17軒の人達に五重を授けたことも記され、翌八年には藪垣外の荒れ野に田畑二枚を開いて堂田としたのです。

 つまり、新家上村、新家高野に次々と教線を築き末寺とするとともに、高野では「五重相伝」まで行っています。五重という言葉はよく聞きますが浄土宗徒でない私には難解です。多くのサイトの中から比較的分りやすい「五重相伝」はこちらから。そして、重要なのはこの時期近世初期はオフィシャルには在家信徒への五重相伝は(浄土宗で)禁止されていたという事実です。あえて五重を授けたということはいかに信徒との関係強化に配意したかということです。

 また、このような新田開発はいかに中本寺格の寺の住職であっても、経済力の背景がないと行うことは難しいと思うのですが、次にはこの点を考えてみたいと思います。

(6/3追加)

 先ほどの(上村)清明寺が大光寺の末寺になったくだりには続きがあります。重要事項ですので次の④ではなく、今回にふれておきます。「・・・以来、本末の格式、來迎院・勝楽寺・了安寺、元ト法然寺並・・・」という記載です。來迎院とは大津村の「光明寺來迎院」のことでしょう。勝楽寺は北野の「正楽寺(勝楽寺)」のことでしょう。了安寺は大苗代の「了安寺」に違いありません。

 気になるのは我が中村(岡中)の法然寺ですが、「(元ト)法然寺」となっている点です。この元法然寺という記載が大いに気になります。要は清明寺の格式がこれらと同じ平寺ということですが「元」の意味することは何なのでしょうか?。時は寛文六(1666)年のことです。この時点で中村(新家中村でなく岡中の)法然寺に何があったのでしょうか?。(これは、大光寺と信達庄の寺との関連の中で触れます。)

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